ゲリーニョの米国株買い漁り

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AMDが今後2年無双する理由

こんにちは。

intel入ってる?私のは入ってません。昨年Ryzen&Radeonで自作PCを組んでからAMDファンです。

2019/07に第3世代CPUが出たあたりから、多くの投資家とPC好きが「AMDの時代来たな」と思ったでしょう。

製品面でも、投資対象としても、AMDは今かなり魅力的な企業です。今回は直近の決算から今後の展望まで、市場を占う材料をまとめました。

 

2020Q2決算

7月最終週は多くのテック企業が第二四半期決算を発表しました。その中にはプロセッサメーカーのAMD(advanced micro devices)やそのライバルであるintel, NVIDIAもあります。ここではAMDの決算をざっとまとめます。

 

【AMD Q2決算】

EPS(株価収益率) $0.18(予想$0.17)

売上高 $1.93B(予想$1.86B, 前年同期比+26.1%)

 

EPS、売上高の両方で予想を上回りました。ガイダンス(来期以降の決算に関する会社の見解)に関しても、Q3売上高が$2.3B→$2.45B~$2.65B、2020売上高が$8.39B→$8.88Bと上方修正されました。

決算前から、好決算への期待から株価は上昇していましたが、決算後さらに跳ね上がりました。

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AMDの株価チャート。7/28の決算発表後(青線)10%以上跳ね上がった

既にチャートはAMDの躍進ぶりを表していますが、これがあと2年は続くという見方が広まっています。その根拠を示します。

 

AMD躍進の理由

根拠は大きく分けて2つあります。1つはAMDの協力会社で、台湾の半導体製造会社であるTSMCの製造力。次は最大のライバルであるintelの不調です。

①TSMCの製造力

AMDは「半導体メーカー」と呼ばれますが、製造工場を自社で持っていません。現在販売しているチップの製造は多くをTSMCに外注しており、その製造技術が重要です。

超ザックリ言うと、チップの開発競争のキーは、プロセスサイズ(チップ上のトランジスタの間隔)を小さくして生産性を上げていくというものです。

AMD&TSMC連合の現行プロセスサイズは7nm。このプロセスサイズでチップを量産できる企業は現在TSMCとSamusungのみであり、TSMCと組んでいるAMDがプロセス縮小化競争をリードしていると言えるのです。

②intelがこけた

続いての理由はAMDとPC用プロセッサのシェアを二分するインテルの不調です。いや、不調というほどでもないんですけどね。7/23のQ2決算によると、売上高は$1.97B(昨年同期比+20%)でアナリスト予想も上回りました。なのに株価はドーン↓

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インテルの株価チャート。7/23決算発表後急落。

好決算なのに不調認定されているのは、プロセスサイズに関する発表があったからです。具体的には、「7nmプロセスの開発に遅れがあり、市場に投入するのは2022後半か2023年になる。」というものでした。現在のintelの主力プロセスサイズは14nmで、7nm投入への移行段階として10nmの製造を進めています。

ひとつ前提として重要なのが、インテルはチップを自社工場で製造しています。製品の長期的な競争力に影響する7nmプロセスの製造目途が立たないため、今後2~3年はAMDが市場を支配するだろうと予想できるわけです。

 

とはいえ、インテルが市場で100%AMDの後塵を拝すとは限りません。

常に膨大なキャッシュを持つインテルであれば、価格競争や買収など手段はいくつもあるでしょう。実際、内製をやめてTSMCへ外注する可能性もCEOが示唆しています。また、インテルが製造する7nmプロセスはTSMCで言う5nmに相当するとインテル側は述べており、それが本当なら2,3年後にスペック上完全に追い付き、追い抜く可能性も十分あります。

 

今後

主にTSMCの製造技術と、インテルの遅れにより株式市場とチップ製品市場の両方で存在感を強めるAMDですが、市場には他にもライバルがいます。AMDの立場を脅かすかもしれない不安要素についても軽ーく触れておきます。

不安要素①Arm,NVIDIA

AMD、インテル以外にもチップメーカーはあるよという話です。

Arm。こちらは実際に製造しているわけではなく、アーキテクチャのライセンスだけ握り、ARMアーキテクチャを利用して製造したい企業からライセンス料をもらうというビジネスモデルです。消費電力が少ない等のメリットがあり、スマホ用チップはiphoneもandroidもほとんどがArmベースです。また、Appleが新型MacにARMベースのプロセッサを搭載すると発表しており、PC市場でも今後存在感が増す可能性があります。

現在Arm株はソフトバンクグループがほぼ全部所持していますが、それをNVIDIAが買うという噂があります。NVIDIAはGPUシェアでAMDとトップを争う企業です。つまり、巨大なGPU企業が、CPU市場でも力を持つかもしれないということです。それはAMDにとって脅威です。

不安要素②中国勢

急速成長中の中国勢の動きにも触れましょう。

半導体製造会社SMICがHUAWEIの新プロセッサの製造を受注するというニュースです。

第二四半期にスマホの売上台数世界一を記録したHUAWEIは、今まで14nmプロセスのチップをTSMCに発注していました。しかしアメリカからの圧力により、TSMCがHUAWEI製品の製造を断ったようなのです。これはHUAWEI自身にとってだけでなく、中国政府にとっても痛手です。国策企業であり、自国経済にも大きく貢献していますから。

そこでHUAWEIはTSMCの代わりに国内の半導体製造大手SMICに発注したようなのです。当然中国政府も支援を決め、2400億円を出資したと報じられています。

このように、中国勢はアメリカ政府からの制裁に対抗すべく、国を挙げて半導体産業のレベルアップを図っているわけです。今後これらの企業からTSMC&AMDのライバルが出てくる可能性もあるかもしれません。

ただし、SMICは14nmプロセスの製造を始めたばかりで量産体制が整っておらず、今回の受注にも対応できるか怪しいようです。米台韓でしのぎを削り2社のみ辿り着いた7nmプロセス。2,3で中国勢が追い付くのは、至難でしょう。

SMICとHUAWEIの関係については以下の記事を参考にしました。

https://news.livedoor.com/article/detail/18538742/ 

 

まとめ

以上のように、プロセス縮小化競争がAMDとインテルの明暗を分けました。そしてAMDの躍進を支えたのは7nmプロセスの製造技術を持つTSMCでした。インテルからは今後2年7nmプロセスで製造されたチップが出ませんから、基本的にはAMDの無双が続くということです。

ただ、インテルの逆襲やArm買収の噂、中国勢の台頭など、ハイポテンシャルなライバルの動向もしっかりウォッチしていきましょう。