国産中古スポーツカーの値上がりが続いています。
以前から一部の中古車は値上がりが始まっていましたが、コロナ渦で加速したように見えます。理由を考察します。
価格推移
主な国産スポーツカーのここ1年の価格推移を見てみます(2020/4~2021/3,画像は車選びドットコムより)。
まずは86とフェアレディZ。Zは流通している歴代モデル全てを含んだ値です。
86
フェアレディZ
現在も生産中のモデルがある両車種ですが、2020年6月ごろから価格上昇が始まっています。
次は既に生産が終了している車種について見てみます。S2000とRX-8です。
S2000
RX-8
現行モデルのある前2車種と比べると、流通台数が少ないからか値動きが荒いですが、やはり値上がりしているのは変わりません。
値上がりは「市場の流動性」が原因
国産中古スポーツカーがコロナ渦で値上がりしている原因は市場の流動性が下がったことだと考えられます。
流動性の低い市場とは、売買参加者や流通商品数の減少により、売買の機会が減っている市場のことです。
一般的に流動性が下がっている市場では、販売価格と買取価格の差(スプレッド)が広がることが多いです。上のグラフからも、コロナの第3派が始まった11月頃から赤線と青線の差が大きくなる傾向が見て取れます。
売り手側は、販売価格よりも著しく安い値段で買い取られてしまう相場では車を売りたがらず、様子見をしてしまいます。それによりまた市場の流動性が下がるという循環が生まれてしまっているのです。
特に「国産スポーツカー」という存在自体が貴重さを増している昨今、売り手側は長期的に愛車が値上がりすると思っているため、市場が不安定なコロナ渦であえて愛車を手放そうとは考えにくいのかもしれません。
以上の理由により、国産スポーツカー市場というのは不景気で相場が上昇する特殊な市場なのです。
尚、高級外車市場などは状況が違います。国産スポーツカーよりも”資産”としての価値が重視され、流通量も多いため、流動性が安定しています。
実際、ベンツのCクラスセダンのようにコロナ渦で値下がりしている車種も散見されます。